通常何かの作業を行う際は、「運動（手足の動き）」のコントロールと「姿勢（構え）」のコントロールの２つの課題を処理しながら動作を実行しています。つなぐラボではこのシステムを考慮して体を動かすための筋肉と、姿勢を安定させる筋肉それぞれにアプローチしていきます。家族で食卓を囲んだ際の食事場面を例に挙げてみます。少し離れた場所にある皿に箸を伸ばす際は「運動（手足の動き）」に伴って「姿勢（構え）」を調整することでバランスを崩すことなく動作を遂行していきます。当然手足の動きは大事ですが、それを支える姿勢は効率的な動作を行うために最も重要な機能と言えます。なおこの姿勢調整には２つの要素があり、ひとつは事前に想定し準備された「姿勢（構え）」制御、もうひとつは外乱などの想定外のことが起きた時に対応する制御機構で、歩行中に歩道の段差でつまづいても倒れないのはこの姿勢制御機構の働きです。本来、これらの制御機構を無意識に効率良く機能していたはずですが、脳卒中片麻痺患者は左右両側の協調性が妨げられるため非効率となり意識的・努力的に行うようになります。そうなると非麻痺側での過剰な活動は麻痺側の弱化を助長していきます。つなぐラボのセラピーでは姿勢制御と運動制御の考え方を重要にしセラピーを行います。